海外Working事業

業績サマリ

海外Working事業は、豪州・ASEANを中心に9ブランドで展開し、連結売上の約4割を占める重要セグメントです。2025年3月期通期では、連結売上1,397億円のうち海外比率は約40%の564.5億円。主要顧客における採用抑制や為替変動等の逆風に直面しつつも、コスト抑制や業務効率化を進め、底堅い収益確保に取り組みました。中期経営計画においては、 “安定成長を担う柱”と据え、派遣比率拡大・ガバナンス強化・収益構造改革を通じて回復軌道を目指しています。

事業責任者メッセージ

北川 聡

北川 聡

株式会社ウィルグループ
海外戦略本部 執行役員

安定成長を担う海外Working事業

ウィルグループの海外Working事業は、豪州、シンガポール、マレーシア、香港、欧州、米国など多様な地域で、9つのブランドを通じてHRサービスを展開しています。その根幹にあるのは、各国・地域に密着し、それぞれの産業や顧客の特性に応じたサービスを提供してきた実績です。

現在の中期経営計画「Well-being 2026」において、海外Working事業は“安定した成長を担う柱”として位置づけられています。国内Workingが挑戦的に再成長を追求するのに対し、海外は多様な事業ポートフォリオを活かし、市況変動を乗り越えながら着実に成長を積み重ねる役割を担っています。グループ全体の利益基盤を支える存在として、その意義はますます大きくなっています。

セクター別にみる現状と展望

海外Working事業は、豪州、シンガポール・マレーシアを中心とするASEAN、そしてエグゼクティブサーチという三つのセクターで構成されています。

海外売上の最大割合を占め、事業全体の安定性を支える屋台骨である豪州では、シドニー、メルボルン、ブリスベンといった主要都市に4ブランドを展開し、公共機関を含む幅広い顧客基盤を持っています。連邦・州政府との取引が多いことから、景気変動に強い安定収益源となっています。現在は人材紹介需要の停滞で一時的に収益性が低下していますが、派遣やアウトソーシング分野では底堅い需要があり、中期的には堅調な回復が見込まれます。
シンガポール・マレーシアを中心とするASEANでは、3ブランドが公共、IT、通信、金融、製造、航空といった幅広い産業にサービスを提供しています。人材紹介分野は依然として低調ですが、派遣市場は回復傾向にあり、規制や労働市場の変化に柔軟に対応しながら収益基盤を立て直しています。地域経済の拡大を背景に、中長期的にはさらなる成長ポテンシャルを持つ市場です。
2ブランドで展開するエグゼクティブサーチ事業は、シンガポール、香港、欧州、米国などを拠点に、CxOやディレクター、マネジャークラスを対象に人材紹介を行っています。市況感応度が高く、景気減速期には収益が落ち込みますが、回復局面では高い収益を生み出す特性があり、グループ全体の利益成長を押し上げるエンジンとなります。現在はコスト効率化や顧客・候補者ネットワークの維持に注力し、次の成長局面に備えています。
このように、三つのセクターを組み合わせることで、海外Working事業全体として市況変動を吸収しやすい安定性を備えています。

事業基盤とリーダーシップによる競争力強化

海外Working事業の競争力を支えている強みは、事業ポートフォリオの多様性による安定性のほかにも、次の二点があります。第一に、各国市場や顧客に根差した事業基盤を持ち、規制や環境の変化に即応できる柔軟な体制を備えていること。第二に、経験豊富で強力なリーダーシップチームを擁していることです。各ブランドの経営陣はそれぞれの領域で高い専門性を有し、市場と顧客への深い理解に基づいて柔軟に戦略を遂行しています。さらに近年は子会社の枠を越え、横断的にシナジー創出やコスト効率化を議論する機会を増やし、経営の質とスピードを高めています。

海外Working事業の管掌役員として、短期的には効率性と収益回復を確実に進めると同時に、中期的には“安定成長の柱”として海外Working事業の競争力をさらに高めていきます。市場の変化に柔軟に対応しながら、グループ全体の持続的成長と株主還元力の向上に貢献してまいります。これからも各地域の強みを活かし、世界の多様な働く人々とともに、より良い未来を築いていきます。今後の海外Working事業の歩みに、ぜひご期待ください。

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