個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント・グループとして、ウィルグループは人的資本経営の先進的な取り組みを続けています。「人の可能性を信じ、挑戦を支える」を基本姿勢に、データドリブンな戦略と現場発の文化変革を両輪で進める人事本部の取り組みについて紹介します。
私たちの使命は「グループの経営目標達成に向け、人と組織を成長させること」です。そのキーワードが「Well-being」。人を資本と捉え、どのように投資し成果につなげるかを設計・実行しています。
ただし、Well-beingを単なる福利厚生や満足度向上と捉えているわけではありません。身体的・精神的・社会的の三側面すべてを網羅し、特に「身近な人間関係」と「働く意義」に焦点を当ててきました。5〜6年継続している対話会、コーチング、チームビルディング、パーパス探求ワークショップを通じて、Well-beingの向上に取り組んでいます。
こうした取り組みを続ける中で、部門から対話会のリクエストが自発的に増え、受講者が同僚を対話会に紹介する流れも生まれています。「個の活躍と強いチームの両立」を掲げた結果、この1年間で管理職のマインドセットが大きく進歩しました。8月からは本格的に働きがい1on1を開始し、働きがい創出に上司が積極的に介在する体制が整いました。
現場では「いい感じ」と表現されるような前向きな空気が確実に広がっています。挑戦には失敗がつきものですが、再挑戦できる組織を目指し、従業員の可能性を信じて多様な活躍を支援する姿勢が私たち”らしさ”だと考えています。
人的資本経営とは「人への投資→人の成長→組織の成長→企業成果」のサイクルを回すことです。ウィルグループは人を大切にするマインドは強いものの、投資と成果の連動設計が十分ではありませんでした。そこで独自指標を開発し、継続的な測定と分析を行っています。
5年間の追跡調査により、特に「働きがいスコア」と「職場の幸せ力スコア」がWell-being向上の重要因子であることがわかりました。「働きがいスコア」は社員がどれだけ成長を実感し、仕事に意味や信念を持てているかを測る指標です。「職場の幸せ力スコア」は職場における信頼関係や心理的安全性、サポートの度合いを可視化します。そして、「働きがいスコア」は「成長実感」と「働く意味・信念」が、「職場の幸せ力スコア」は「社員同士の相互理解」と「チャレンジを推奨する職場の雰囲気」が、スコアを高める重要な要素であることが明らかになりました。
データ活用の特徴は、単に数値を集めて管理することではなく、分析結果をもとに具体的なアクションへとつなげている点です。例えば、成長実感が低いと分かった部署には、スキル研修やキャリア面談を重点的に実施しました。その結果、翌年のスコアは改善し、離職率の低下にもつながっています。数字が「行動の起点」として活かされているのです。
さらに重要なのは、サーベイ結果を経営会議で共有し、事業戦略や投資判断に反映するサイクルを構築していることです。人的資本を「人事だけの課題」ではなく「経営課題」として位置づけ、投資が財務的成果や持続的成長に結びつくことをデータに基づいて説明できる点は大きな強みです。
今後注力するのは、目の前の業務だけでなく中長期・全社視点で人を動かす仕組みづくりです。目的は「高度な個別対応と全員戦力化」。指標はWell-beingと生産性の両立です。具体的には、適材適所を実現し、シニアや部門横断の配置も含めて可能性を引き出します。当事者意識を育て、異動・育成・サクセッションを最適化する。社員のキャリア自立も重要で、一人ひとりが自己責任でキャリアを切り開く文化が強い組織につながります。現在は国内総合職が主対象ですが、海外社員や専門職社員にも対象を広げ始めるため、まずは全体を可視化し把握することから始めています。
ウィルグループでは、社員の主体性を引き出す取り組みが広がっています。その代表例が「ダントツWILLプロジェクト」です。このプロジェクトは、社員自らが「会社をもっと良くしたい」という想いから立ち上がり、現場発のアイデアをもとに改善活動を進めるものです。部署や役割を超えて社員が集まり、自ら課題を設定し解決策を実行することで、横断的な連携が生まれています。これまでに300名を超える社員が参加し、資格取得や地域活動、家族とのプロジェクトなど多様な取り組みが生まれました。
そして「夢支援制度」も現場の自走性を育む重要な施策です。総合職だけでなく専門職も対象にした、挑戦と巻き込みを促す制度として設計されています。社員が公私を問わず叶えたい夢を掲げ、仲間や会社が応援する仕組みです。海外からの応募も多く寄せられ、実際に選考を通過した海外社員もおり、国境を越えて挑戦を支援する制度として機能しています。
唐木 恵惟子
株式会社ウィルオブ・コンストラクション
技術本部 技術部
Tan Wei Qiang Jovin
The Chapman Consulting Group Pte. Ltd. SINGAPORE)
奥田 彩香
株式会社ウィルオブ・ワーク
ファクトリーアウトソーシング事業部 戦略推進部
垣内 優希
株式会社ウィルオブ・コンストラクション
技術本部 技術部
Resat Vargin Yeke
The Chapman Consulting Group Pte. Ltd. (SINGAPORE)
岡村 公司
株式会社ウィルオブ・ワーク
ライフケア事業部 ケアワーク営業部
ウィルグループの特徴は「会社を良くするのは経営や人事だけでなく社員全員」という文化です。手挙げ式で参加者やプロジェクトメンバーが集まり、自走する取り組みが多数生まれています。制度を通じて「挑戦を応援する文化」が根づき、社員同士の関係性やエンゲージメントが高まっています。現場から自然に生まれるポジティブな動きが増えていることは、文化変革の大きな成果といえるでしょう。
投資家の皆さまには、ウィルグループの人的資本経営が単なる制度や仕組みではなく、持続的な企業価値向上の源泉であることをお伝えしたいと思います。私たちは5年以上にわたってデータを蓄積し、投資と成果の因果関係を明確にしてきました。今後さらにタレントマネジメントを高度化し、全員戦力化を実現することで、競争優位性を築いていきます。
社員の皆さんには、会社が皆さん一人ひとりの可能性を心から信じていることをお伝えしたいです。挑戦を支える仕組みは整いつつありますが、最終的にはあなた自身が主役です。キャリア自立の意識を持ち、自分らしい働き方を見つけてください。
そして未来の仲間には、ウィルグループが「個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント・グループ」として、あなたの挑戦を全力で支援することをお約束します。ここでなら、仕事を通じて社会をより良く変えながら、自分自身も成長し続けることができます。
私たちの人事戦略の真の価値は、社員一人ひとりが「自分の仕事を通じて誰かをポジティブにできている」と実感できる環境をつくることにあります。これこそがウィルグループらしい人的資本経営の実践であり、持続的成長を支える最大の原動力だと確信しています。