挑戦機会の提供

10年待っていた声に応えるために。
未経験から駅舎再開発に挑む

不安の中で掴んだ挑戦の場

私は大学では文系を専攻していました。もともと「建設業界で働きたい」と強く思っていたわけではなく、就職活動のときは小売やサービス業を中心に幅広く企業を見ていました。いくつかの会社から内定をいただいたものの、どこか決め手に欠け、「この先のキャリアを本当にここで始めていいのだろうか」と迷いを抱えていました。

そんな中、ウィルグループと出会いました。最初は深く考えずに選考を受けましたが、面接を重ねるうちに社員の人柄や雰囲気に惹かれるようになりました。特に最終面接で出会った営業部長の方とのやり取りは忘れられません。自分の過去の挫折経験を真剣に聞いてくださり、励ましの言葉をかけてもらったことで「この人たちと働きたい」と思えるようになりました。
入社を決めたときは少し浮かれていましたが、4月に近づくにつれて不安が大きくなっていきました。「自分は体力的にやっていけるだろうか」「専門知識もないのに大丈夫なのか」。入社直前は眠れない夜もありました。
そして迎えた4月。研修を終えて、8月から本格的に現場に配属されました。舞台は首都圏の主要駅の再開発プロジェクト。駅舎の新築、古い駅ビルの解体、新駅ビルの建設、さらに跨線橋や歩道橋の整備まで含む壮大な計画です。工期は10年近くに及びます。入社1年目の自分にとっては、あまりに大きな挑戦でした。「果たして自分に務まるのか」という不安は消えませんでしたが、ここからが私の挑戦の始まりでした。

失敗と向き合い、挑戦を学びに変える

現場に出て最初に感じたのは、鉄道工事ならではの働き方でした。日中の作業に加えて、線路を止められる夜間にしかできない工程もあるため、日勤と夜勤を組み合わせたシフトが組まれます。慣れるまでは体のリズムを整えるのに苦労しましたが、その分、昼間には見られない夜間工事の迫力や現場の一体感を体験できるのは大きな学びでした。

そんな中で、忘れられない経験があります。仮設の喫煙所やトイレ用のステージを組むために資材を拾い出す作業を任されたとき、必要な資材を一部見落としてしまったのです。作業が進まなくなり、現場の職人さんから「現場をもっとよく見てみろ。学べることはたくさんある」とアドバイスをいただきました。最初は悔しい気持ちもありましたが、その言葉をきっかけに「細部まで観察する」習慣が自分の中に根づきました。今では、このときの学びが自分の仕事の精度を高める原点になっています。

未経験で文系出身の私は、「どうしてこの業界に?」と聞かれることも少なくありません。ある時、尊敬している工事長から「本気で続ける覚悟があるのか?」と声をかけられたことがありました。その一言は挑戦状のように響き、「必ず結果で応えたい」という気持ちを奮い立たせました。「なんとなく入った」「すぐ辞める」と思われたくない。その思いが原動力となり、必死に学び、仕事を覚えることで一歩ずつ信頼を積み重ねてきました。
挑戦には苦しさもありますが、やりがいも確かにあります。自分で描いた仮設の図面が実際に形になったとき、夜勤で建物の骨組みが少しずつ立ち上がっていく様子を目にしたとき、「自分もこの大きな仕事に関わっているんだ」と胸が熱くなりました。
そしてある日、沿線に住む地域住民の方から声をかけられました。車椅子を利用しているその方は「この駅は階段しかなく、普段は隣駅まで歩いて電車に乗っている」と話してくださいました。そして、「もう10年も待っていたんだよ。新しくなるのが本当に嬉しい。頑張ってね」と言葉をかけていただきました。その瞬間、自分の挑戦が地域の方々の期待とつながっていると実感しました。社会にとって意味のある仕事をしているのだと強く感じ、さらに頑張ろうと思いました。
現場は決して楽な仕事ではありません。長時間の勤務や体力的に厳しい日もありますが、その分だけ学びや達成感も大きいのがこの仕事の特徴です。私自身も大変さに直面するたびに、「どうすれば乗り越えられるか」を考え、挑戦を重ねてきました。そうした経験が自分を成長させ、「覚悟を持って取り組めば必ずやりがいにつながる」と心から実感できるようになったのです。

挑戦を未来につなげる

今の目標は、一級施工管理技士の資格を取ることです。実務経験を5年積めば受験資格が得られるので、必ず挑戦したいと思っています。その資格を取ることで、自分が指揮を執り、現場を任される立場に近づけます。まだ経験は浅いですが、いつかは担当工事を持ち、自分の判断で現場を進められる技術者になりたいと考えています。

竣工は数年先ですが、私はこの現場を最後までやり遂げたいと思っています。入社当初に抱いていた不安や、現場での悔しい経験。そうしたものをすべて成長の糧に変えて、10年以上かけて一つの駅を完成させる。その達成感は、きっと一生の誇りになると信じています。
仕事で力を発揮し続けるためには、心身を整えることも欠かせません。私は休日に好きな音楽や仲間との時間を楽しむことで気持ちをリセットし、次の挑戦に備えています。オンとオフを切り替える習慣があるからこそ、毎日の仕事にも新鮮な気持ちで向き合うことができています。
これから建設業界を目指す後輩たちには伝えたいことがあります。「楽な仕事ではないけれど、覚悟を持って飛び込めば必ずやりがいを感じられる」ということです。私自身、未経験で不安だらけでしたが、今は挑戦の中で確かな成長を実感しています。地域の方から「待っていた」と言われたときの喜びは、どんな大変さも超えるほど大きいものでした。
挑戦の機会があるからこそ、人は成長できる。与えられた機会に必死で向き合うことで、社会に価値を生み出す力に変えられる。私はこれからも、この挑戦を未来につなげていきたいと思います。

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