はたらく機会の提供

未経験でも、女性でも。
現場で働く機会が私を育ててくれた

人が好き、だからこの道を

私は昔から「人が好き」でした。大学時代には子ども支援のボランティアサークルで活動し、子どもたちと一緒に工作をしたり劇をつくったりし、夏休みには数日間子どもを預かるサマースクールを運営しました。保健班長として子どもの健康を守り、広報担当として活動を記録・発信する役割も担いました。安全を守る責任感や、信頼を得るために準備を尽くす姿勢は、この頃に培われたものです。

飲食店でのアルバイトでは、接客から調理、電話応対まで一人でこなすこともありました。お客様から直接「ありがとう」と言葉をもらえた瞬間の嬉しさは、働く喜びを教えてくれました。銀行でのアルバイトでは、現金を扱う緊張感の中、オペレーター役として仲間の作業を最終確認する責任を担いました。信頼に応えることの大切さを実感した経験でした。
就職活動では養護教諭や美容、ホテル業界も見ましたが、「人の可能性を信じたい」という自分の軸にしっくりきたのはウィルグループの「可能性を信じる」というバリューでした。内定者時代に出会った社員の方々は、皆が前向きで温かく、「ここなら自分も成長できる」と確信できました。こうして、未知の建設業の現場に飛び込む決意を固めました。

建設業界の課題に挑む――未経験から現場の一員へ

建設業界は深刻な人手不足に直面しており、特に女性の進出は他の業界と比べて遅れているのが現状です。そんな中で、文系出身で業界未経験の私が配属されたのは、東京湾岸にある大規模な公共工事の現場でした。清掃工場の建て替えや下水道の貯留施設の建設など、地域の生活を支えるプロジェクトです。

最初は「自分にできるだろうか」と不安もありましたが、実際には次々と働く機会を与えられました。ウィルオブ・コンストラクションでは、未経験者や女性であっても積極的に機会を提供し、一人ひとりを育成していく文化があります。
最初に取り組んだのは測量や墨出しでした。機材の扱いに戸惑いながらも、先輩に何度も質問してメモを取り、少しずつ精度を高めていきました。ある日、同期と2人だけで沈下測量を任されたとき、「もう信頼して任せてもらえている」と実感できました。自分の測定が正しくなければ工事全体に影響する。大きな責任に緊張しつつも、その信頼が励みになりました。

安全管理も欠かせない役割です。真夏にはWBGT(暑さ指数)を計測し、現場の作業員が安全に働ける環境を守りました。炎天下でフルハーネスとヘルメットを着用して走り回るのは大変でしたが、「自分のチェックが仲間の安全につながる」と思うと誇りを感じました。
建設業界では従来、経験やスキルが重視されがちでしたが、私の現場では「文系出身だから」「女性だから」といった理由で制限を受けることはなく、むしろ責任ある業務をどんどん任せてもらえました。

成長を支える充実したサポート体制

海外事業は、会長の池田を中心にM&Aによって拡大してきました。買収先を検討する際は「足元の業績が良い」「経営陣が優秀で価値観が合う」「強みが明確でメイクセンスする」という3つの基準を外さずに買い進めた。その結果、買収先は高い実力を維持しながら、自治権は現地に残すPMIを進めることができました。これは、スピード感を重視した拡大フェーズにおいては非常に秀でた戦い方だったと思います。一方で、私が引き継いだタイミングでは、市場環境が大きく変わっていました。コロナ禍を経て需要が乱高下し、競争が激化。各社が「自分たちで何とかする」という強い責任感のもと個社ごとでの課題解決に動いていました。それは非常に素晴らしい経営姿勢である一方、企業間でのシナジーやコラボレーションを生み出せていないという課題が浮き彫りになりました。

そこで、各社がつながる場づくりが必要だと考えました。単に買収して各社の自主性に委ねるのではなく、経営の視界を広げ、各社がグループの一員として互いに価値を出し合う仕組みに変えていく。そのための仕掛けが、シンガポールとオーストラリアで始めたCEOミーティングです。背景にあったのは、「経営者同士が互いをよく知らない」という事実です。買収から数年経っても顔を合わせる機会が乏しく、シナジーの可能性を知らないまま距離がひらいている状態。だからこそ、まずはリアルな場で率直に課題を共有し合うことから始めました。最初は自社の優位性を誇示し合うだけでしたが、プロジェクトを一緒に進めるうちに協力の芽が生まれ、2回目には「なぜもっと早くやらなかったのか」という声が出るほどに変化しました。CEOミーティングは単なる情報交換ではなく、「危機感を共有し、グループとしての一体感を育てる場」として機能し始めています。
私が繰り返し伝えているのは、「一体感をつくろう」ではなく「危機感を共有し変化をつくろう」ということ。いいチームを目指すより、まずは1円でも売上や粗利につながるスモールサクセスをつくろう。その積み重ねが信頼を生み、結果的に一体感になる。半年ほど取り組んできましたが、確実に距離感が縮まり、グループ全体の視界が広がってきたと感じています。
海外のCEOたちと定期的にリアルの場で会い、課題をテーブルに出して協力し合う。そうしたプロセスを通じて「各社が単独で戦うのではなく、グループ全体で価値をつくる」スタイルがようやく形になりつつあります。海外事業はまだ課題も多いですが、その課題は成長の伸びしろです。ここから次の成長を生む重要な基盤になっていくと確信しています。現場に近いリーダーの熱量と、グループ全体を俯瞰する経営の視座。この二つをつなぐことが、海外事業の未来を切り開く鍵だと考えています。

ウィルオブ・コンストラクションでは、現場での実務経験と並行して、社員の成長を支える手厚いサポート体制が整っています。

キャリアマネージャー制度が特に印象的です。これは社員一人ひとりに専任の担当者がつき、キャリア形成や現場での課題をサポートしてくれる制度です。私を担当してくださるキャリアマネージャーの方は、現場での悩みや将来への不安を親身に聞いてくださいます。「分からないことをそのままにしない」と決めてからは、勇気を出して質問し、毎日の学びを積み重ねるようになりました。1日に1つでも「今日はこれを覚えた」と思えることが増えていくと、未経験でも成長している実感が湧きました。同期との交流も大切な支えになっています。様々な現場に配属された同期と定期的に情報交換することで、「自分だけが大変なわけではない」「みんな頑張っている」と感じられ、モチベーションの維持につながっています。現場では一人で派遣されることも多い中、横のつながりがあることの安心感は計り知れません。

現場の先輩方も質問しやすい雰囲気をつくってくださいます。「分からないことは何でも聞いていいよ」という姿勢で接してくださり、指示が曖昧で困った時も、「どうすればいいんだろう」と悩まずに済むよう、丁寧に教えてくださいます。
さらに、現場では市民センターに出向いて住民の方に説明を行ったり、行政関係者や学生の見学対応を通じて「現場を支える裏方の力」の重要性を学んだりと、技術面だけでなく地域社会との関わりも経験できます。働く機会が広がっていく中で、「自分はここで成長している」と確信できるようになったのです。

未来を描き、自分らしく働く

今の目標は、施工管理者として一人前になることです。安全・品質・工程・原価・環境という「五大管理」をバランスよく身につけ、現場全体を任される存在になりたいと考えています。任されることで人は成長する。これまでそう実感してきたからこそ、より大きな責任を担いたいのです。

将来的にはキャリアマネージャーという役割にも挑戦してみたいです。現場で得た経験を活かし、後輩や仲間の可能性を引き出すサポートをしたい。キャリアマネージャーの方々が私にしてくださったように、一人ひとりの成長を支える存在になりたいと思っています。人の可能性を信じたいという想いは変わらず、それを次の世代につなげていきたいのです。
「建設業を憧れの職業にしたい」という想いもあります。私自身が文系出身であり女性でありながら、建設現場で働けていること自体がメッセージになるはずです。「あの人ができているなら、私も挑戦できる」と思ってもらえたら嬉しいです。その積み重ねが、業界全体の価値を高めていくと信じています。
仕事と同じくらい大切にしているのが、自分の時間です。休日には旅行や趣味を楽しみ、オンとオフを切り替えることで仕事にも集中できます。新しい土地を訪れるたびに視野が広がり、それが現場での対応力にもつながっています。趣味や余暇は単なる気分転換ではなく、自分らしい働き方を支える要素です。
文系出身でも、女性でも、現場で力を発揮できる。私が歩んできた道は、その証です。自分らしく働きながら成長する姿を示すことで、同じように迷う誰かの背中を押せたら嬉しい。これからも一人の技術者として誇りを持ち、仲間と共に社会を支えていきたいと思います。

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