社長メッセージ
事業と組織の可能性が明確に
2023年6月にウィルグループの代表取締役社長に就いて1年が経ちました。この1年間、私たちの事業や組織の可能性を再認識する機会となりました。
まず事業については、中期経営計画「WILL-being 2026」の1年目を終えました。私たちはいまターンアラウンドのステージに立っています。これまでと同じ事業での成長を前提に考えるのではなく、新たな成長の機会を積極的に模索し挑むことでポートフォリオを変えていきます。私が最も危惧するのは、事業構造が古くなっているのに、人も組織も古い仕事のやり方を続けていて誰も挑戦しなくなることです。この認識のもと、現中計で基本方針として掲げたのが国内Working事業の再成長です。これまでは有期派遣を伸ばすことに重点投資してきましたが、現中計では正社員派遣や外国人雇用支援の拡大など、新たな成長分野に挑戦しています。
海外Working事業はオーストラリアとシンガポールを中心に11カ国へ展開しており、この10年でグループ売上の40%を占める規模に成長しました。
特徴は政府との取引が売上の約半分を占めており安定感があること。また、人材紹介事業が海外事業の高い収益力を形成していることです。海外Working事業はM&Aを順調に行うことで力強く成長してきましたが、各社のビジネスに深く精通したリーダーとプロフェッショナルなメンバーがグループイン当初から変わらずに活躍し、素晴らしいチームを形成していることが強さの秘訣です。
次に組織についてです。昨年から月に数回のペースで全国の事業拠点を訪問し、社員との対話を重ねています。社長の立場では現場の社員や部門長と話す機会があまり多くはありません。それに加え、コロナ禍により社内コミュニケーションが希薄化している今、私の想いを直接伝えたり、社員の考えに触れたりといったコミュニケーションを図るためです。その中で、各事業部の状況に応じて社員の成長実感に差があることに気づきました。同時に、共通して個人の成長、そして事業の成長を求めているのを感じました。
成長は挑戦からつくられます。事業も組織も人も、挑戦なくして成長はありません。正社員派遣や外国人雇用支援に挑戦し国内Working事業の再成長を目指すように、社員一人ひとりにも挑戦と成長の機会を増やしていきたいと考えています。
ウィルグループに
新しい挑戦のカルチャーを
どんな状況でも前進し続けるのが、私たちウィルグループです。今こそ、新しい挑戦のカルチャーを築く絶好の機会です。私は全社員に問いかけたいのです。「ウィルグループでどんなことに挑戦したいのか?」と。社会や人の役に立つために、事業も自分自身も常に成長し続ける必要があります。その原動力となるのが挑戦です。
当社グループでは、新規事業開発に営業利益の約10%を投資しています。この投資の半分は、挑戦を支援するカルチャー形成のためのものです。新規事業は利益が出るまでに手間も時間もかかるので、M&Aの方が賢明なことが多いです。しかし、M&Aだけではなくオーガニックグロースにも挑戦しています。その過程で全社員を巻き込み、参画する機会をつくることで、日々の業務では得難い視座や考え、挫折や達成感を経験する。これが挑戦のカルチャー形成につながります。組織の3割の思考と行動が変わると、その組織の当たり前が変わると言われています。新しい挑戦のカルチャーを作るには、まずは3割の社員が挑戦者になってもらうことです。彼らが挑戦し成長を実感できるようになれば、ウィルグループは更に次のステージに上がっていけると信じています。
具体的な取り組みとして、社員の挑戦を支援するビジネスコンテストを実施しています。100人以上の応募者から選考を通過した社員が、外部の専門家とセッションを重ね、事業案のブラッシュアップを図ります。最終的には投資委員会の判断のもとグランプリを決定し、発案者の社員には事業化へ挑戦してもらいます。昨年のグランプリは入社1年目の新卒女性社員が獲得し、大きな刺激となりました。
また、それ以外にも一定の管理職以上が集まる「WILLサミット」を半年に一度開催し、DX・グローバル・スタートアップ・女性活躍など様々なテーマでのディスカッションを通じ、社名の由来でもある「Working(働く)」「Interesting(遊ぶ)」「Learning(学ぶ)」「Living(暮らす)」を高める挑戦などもしています。
今年はグループキックオフやタウンホールのテーマにも挑戦を掲げており、「どんなことに挑戦したいか、そのハードルは何か」を開示し合うよう促しています。それぞれの挑戦への想いで感化され、お互いが支援し合う機会をつくっています。
ウィルグループの社員は皆、挑戦の火種を持っています。これは私たちの最大の強みです。現状を変えたい、挑戦する機会を増やしたいという強い想いを持つ社員が多くいます。そういう社員をまずは大切にし、挑戦の火をウィルグループ全体に広げていきたいと考えています。
新しい挑戦のカルチャーをつくり、人や組織のポジティブな行動変容を促すことで、さらなる成長への道を切り開いていきます。
2030年に向けて、
事業ポートフォリオを進化
先の決算発表では、外部環境の変化を踏まえ、現中計の経営目標を合理的な水準に見直しました。しかし、国内Working事業の再成長という基本方針は変わりません。むしろ、この戦略の推進を最大化する経営にシフトしていきます。これが企業価値を持続的に高め、次期中計以降の飛躍につながると考えているからです。
現中計では引き続き、建設技術者領域を手掛けるウィルオブ・コンストラクションの業績をさらに伸ばしていきます。現在の売上高は買収直前の2017年と比較して約4倍となりました。2025年3月期には営業利益を黒字転換させ、事業の柱としていきます。
新しい取り組みでは、「WILLOFプロモーション」を開始し、タレントを起用したTVCMやインターネット広告、SNSマーケティングなどを実施しました。その結果、認知度340%アップ、利用意向度450%アップなど、ブランド認知度と利用意向の大幅な向上を実現しました。
続けて、なぜ私たちが国内Working事業の再成長を基本方針とし、正社員派遣に注力していくのか。有期派遣をベースとする総合人材会社の当社グループでは、オペレーションのノウハウと人材のスキルが事業を駆動させるアセットとなります。これが最もピボットしやすいのが、マーケットの成長性も収益性も見込める正社員派遣領域だと考えているからです。約20年で1,000億円規模まで成長してきた有期派遣で培ったアセットを活用し、他社との差別化を図ります。
今は自社の稼ぐ力を再構築し、資金調達能力を高めることに注力しています。安定的に利益を伸ばす軌道をつくることが、現中計の重要な目標です。
当社グループには、働く人のポジティブな選択肢の最大化と最適化に全力で挑戦したいという想いがあります。2030年までに、多くの有期派遣の人たちを無期に転換していき、他社には真似できない正社員派遣領域でのキャリアパスの仕組みを構築していきます。例えば、ITエンジニアの派遣社員がキャリアを重ねていくと、派遣ではない雇用形態を望むことがあります。その時に会社を辞めるのではなく、次のステップに進むようなキャリアパスを用意し、段階的にキャリアを積み、最終的にはエキスパートとして活躍できるような仕組みを構築することで、当社グループのエンジニアが一般のエンジニアを越える存在になれると考えています。併せて、グローバルカンパニーとしての強みを活かし、国内外の外国人材のキャリアパス形成も支援していきます。
社員の幸せが、
全てのステークホルダーを幸せに
誤解を恐れずに言えば、私はあらゆるステークホルダーの中で、まず大切にしなければならないのは当社グループの社員だと考えています。株主、顧客、取引先といったステークホルダーの皆さまももちろん大切ですが、社員一人ひとりが自分の仕事を通じて提供している価値に成長や喜びを感じ、未来に対してポジティブな展望を持てるよう、会社として最大限の経営努力をしていきます。社員が幸せになることで、ステークホルダーの皆さまも幸せになり、私たちのMISSIONも体現できるはずです。
ウィルグループはこれからも新しい挑戦を続け、労働市場にポジティブな影響を与えていきます。「Believe in Your Possibility -可能性を信じる-」これは私たちが大切にしている価値観です。ウィルグループの可能性を信じ、未来の姿に、どうぞご期待ください。